政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「あ、いや……すみません、出しゃばったことを言いました」
竹之内は忙しなく頭を掻いて動揺を見せる。いったん菜摘から目を逸らし、視線を宙にゆらゆらと彷徨わせてから表情を引きしめた。
「……では、暑いですから菜摘さんは早く家の中で涼んでください」
「はい、ありがとうございます。竹之内さんも気をつけてくださいね」
「なにかあったらいつでも連絡をどうぞ。待ってますから」
竹之内はぎこちなく手を振り振り、農園から去っていった。