政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
マンション住まいだと勝手に想像していたが、一軒家に住んでいるらしい。
(まさか、ご両親も一緒……?)
ヒヤリとしたものが背中を伝う。こんなに大きな家ならその可能性が大きい。
いきなりの同居のうえ両親も一緒だなんて試練続きもいいところ。そこまで考えなかった菜摘も迂闊だ。
「大地くんのお姉さんと住むために用意した」
「……え?」
「ふたりの新居」
パッと振り返って見た理仁が穏やかに微笑む。
「ふたり、の?」
言葉をゆっくり反復した。
両親はここにはいないみたいだ。理仁との同居はさておき、ひとまずホッとする。
「以前、菜摘さんが言っていたんだ。結婚するなら大きな一軒家じゃないとダメだとね。広い玄関フロアには螺旋階段もほしいと」
「やっ、それは……」