政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

キッチンはアイランドタイプでダイニングルームと合わせても三十畳近くある。その隣のリビングスペースは大きな窓から青々とした芝生の庭がパノラマで臨め、ルーフバルコニーも有した解放感のある造りだ。天井でシーリングファンがゆったり回っているせいか、空気が清涼に感じる。そのバルコニーのさらに向こうにはプールまで見えた。

広くゴージャスなバスルームも機能的で清潔感あふれるトイレも、案内されてため息しか出てこない。わがままの限りを尽くして言ったシアタールームも完備されている。


「キミのお姉さんと今夜からここで寝ようと思ったんだけど」


そう言って理仁が案内したのは主寝室だった。
ブラウン系でまとめたファブリックは落ち着きがあり、とても快適そうだ。真ん中にはキングサイズのベッドが存在をアピールしている。


「全部、お姉さんの要望通り」


理仁の言うように、菜摘がわがままの限りを尽くして言い連ねた希望が、そのまま具現化されていた。

(どうしてここまでして……?)

あのパーティーでの冗談を真に受けるとは思ってもみなかったし、ここまでして菜摘と結婚しようとする気持ちも理解できない。

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