政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「お姉さん、気に入ってくれると思う?」
「えっ、や、どうでしょう……」
どう答えたらいいのか。首をかしげた理仁に目の奥を探るように見つめられ、菜摘は瞳をゆらゆらと揺らす。
理仁も〝大地〟に答えを求めていないのか、クスッと鼻を鳴らして次の部屋を案内した。
「大地くんはとりあえずここを使って」
彼が菜摘を案内したのは螺旋階段を上った突き当り。先ほど案内された寝室とはふた部屋離れたところだった。
「キミを連れてくることになるとは思ってなかったから、ゲストルームで申し訳ないけど」
「いえ、十分です」
ベッドがあればそれで。
「もしも姉が戻ったらどうするんですか?」
「お姉さんが戻ったら? もちろんさっきの寝室だよ。俺と一緒にね」
最後の言葉を強調したように聞こえたのは気のせいか。