政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「大地くんも付き合ってくれるだろう?」
「……は、はい」
有無を言わせない目線にたじろぎながら頷いた。
「では、すぐにご用意いたしますね」
ベッドメイクを終えた美代子は立ち上がり、菜摘たちを置いて部屋を出ていった。
理仁とふたりきりにされると妙に緊張する。
「なにか足りないものは?」
「いえ、特には」
「お姉さんに連絡してくれた?」
「……いえ、まだです」
にこやかな笑みを浮かべて尋ねる理仁に首を横に振る。
「連絡先を教えてくれれば、俺が自分で電話するけど」
「その……姉の了承を得ないで番号は教えられないので」
教えた途端、そばでスマートフォンが着信音を響かせるなんて想像しただけでも恐ろしい。しどろもどろになるのをどうか不審がらないでと祈るばかり。