政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
テーブルにティーカップを置いた美代子が声をかけてくる。
八人くらいが優に腰をかけられるくらいのコーナーソファーが大きな窓の方を向いて鎮座しており、そこにイチゴの形をした真っ赤なクッションが三つ並んでいた。
ついうれしくなって「イチゴだ」と小さな声が漏れる。ハッとして口を押さえたが、理仁が耳ざとく拾う。
「お姉さん、イチゴの絵柄が好きだから」
「そ、そうですか」
菜摘のイチゴ好きに合わせて用意したらしい。
さりげない気遣いに心をくすぐられる。それだけで喜ぶなんて、どれだけちょろいのか。
ちょうどL字の部分、窓を正面に座る理仁とは九十度になる位置で菜摘も腰を下ろした。
青々とした芝生の緑とプールの青が、パノラマ写真のようで爽快感がある。
「こちらはミレーヌ自慢のイチゴタルトでございます」
美代子はそう言いながらティーカップの隣にそれを置いた。
思わず「わぁ」と、再び菜摘の素になって声が漏れる。