政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「一週間後に迎えにくるから、それまでに荷物をまとめておいてくれると助かる」
「迎え?」
「早速ふたりの生活をスタートさせよう」
なにからなにまで唐突で言葉も出ない。
「じゃ、また、菜摘さん」
理仁はゆったりとした所作で立ち上がり、黒子のような秘書を従えて座敷を後にした。
数秒ほど茫然とした菜摘は、ハッとして立ち上がり彼を追いかける。このまま帰すわけにはいかない。
「待ってください」
玄関で悠然と靴を履いた彼は、不意に振り返り菜摘に手招きをした。幼い子どもを呼び寄せるがごとく、ひらひらと指先だけを動かして。
なぜか吸い寄せられるようにして近づいたら、理仁にふわりと抱きしめられた。真綿のように優しいのに、秘めた強さをもった腕だ。ふとオリエンタル系の香りが微かに鼻をかすめ、まるで甘い呪縛のよう。
思いがけない事態にドキッとさせられ身動きをとれない。
「一週間後を楽しみにしてる」