政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「わかりました」


了承する以外の出方は菜摘になく、部屋からスマートフォンを取って戻り、お互いの番号を登録し合った。


「大地くんは大学生だったよね」
「はい」
「今は夏休み?」
「そうです」


大地は先週、前期の試験が終わり夏休みに突入したばかり。四年生のため、ついこの前まで就職活動に奔走していた。住宅メーカーから内々定をもらい、ひとまず先行きに不安はない。


「それじゃ、外出する必要はないね」
「あ、いや、それはちょっと……」


まさか軟禁するつもりだろうか。


「不都合はないだろう?」
「祖父は入院中ですし、姉は旅に出ていてイチゴも気になるので」


イチゴの収穫もランナーの切り取りも終わり、今はハウスを完全に閉めきって太陽光による土壌の熱消毒中。ランナーで増やした苗への水やりやファインベリーの生育ぶりも気になる。

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