紅に染まる〜Lies or truth〜


「余りにも大事に守られ過ぎて他人と触れ合ってないから、そこだけに拘る」


「わからない」


「配置した目が腐るほど居るのに
交流が全て端末に頼っているだけだから正常な判断が出来ねぇんだ」


「交流?」


「一平さんしか見てないから一平さんがちょっとよそ見をしただけで捨てられるなんて誤解するんだろ?
護身術・・・いや、それ以上の力を持ってるのに外に一人で出られねぇなんて籠の鳥だ!
もっと人間と触れ合って感情を作れ
生身の人間と交流して不自由を自分で自由に置き換えてみろよ!
二ノ組辞めるのはそれからでも問題ねぇ」


尋の言葉が頭の中を埋め尽くして
胸が騒つく


「てな訳で愛はXデーまで南で暮らすこと」


「え?」


「少し離れて頭ん中を整理してみろ
違った思いが生まれるかもしれねぇ」


「・・・うん」
それは私自身も考えていたこと


「そうと決まったら買い物だな」


不敵に笑った尋に手を引かれて
階段を降りてVIPルームのソファに座り直した

巧が鍵を開けたタイミングで
ノックの音と共に扉が開いた


「「え?」」


入り口で固まるのは
LーDragonの幹部の椎名海輝《しいなかいき》と蓬田圭介《よもぎだけいすけ》


「なに?」


金髪ギャル姿でひと睨みすると


「あ、い?」


海輝の唇が動いた

双子以外にギャルをお披露目したことは無かったから

目の前では巧がお腹を抱えて笑っていて
隣に座る尋も手を口に当てて堪えきれない風に笑っている

二人が巧の隣に座ると
4人がマジマジと私を見た

< 157 / 227 >

この作品をシェア

pagetop