カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
お茶会、か。
たしかに、呉服屋の若旦那ともなれば、長年贔屓にしている家同士の付き合いがあるだろうし、和装が礼儀とされている場にお呼ばれする回数も多いはずだ。
同行するためには、それなりの知識が必要だろう。
「私も、しっかりと勉強をしないとですね」
「勉強?」
「はい。家でもマナーは学んでいましたが、お茶会の作法にはまだ自信がありませんので……ご迷惑をかけないように、励みたいと思います」
「ふっ。相変わらず真面目だね」
「はい?」
先ほどまでとは違ったトーンが返ってきた。穏やかだった目に、正体の知れないナニカが見え隠れするような違和感だ。
きょとんとしていると、庭を一周した辺りで足が止まる。部屋に戻る彼の後に続くと、丁寧に障子を開けてエスコートしてくれた。
素直にお辞儀をして中へ入ると、背後で障子の閉まる音がする。
両親たちは先に別階の談話室に移動したため、部屋の中はふたりだけだ。