HoneyとBunny
「じゃあ衣奈ちゃんも恵里香ちゃんも彼氏おらへんのんや。うちと同じ〜。」

「羽美ちゃん可愛えからモテるんちゃう。」

衣奈がアイスティーのストローを指で遊ばせながら言うと、羽美は「やだぁ。」と満更でもないような顔をした。

天然ふわふわ系女子。
周りの男子を虜にしてしまうような妖艶とも違う柔らかいオーラが放たれている。

「衣奈ちゃんは好きな子おらへんの?」

羽美が目をパチパチさせながら衣奈を見ると、テーブルに置きっぱなしの衣奈のスマホが震えた。

「あ、ちょっと待って。」

圭兎からのメッセージだ。
恵里香との約束の事だろうと羽美に断ってスマホに目を落とすと『4時半に岡高の最寄りでどう?』と書かれていた。

「恵里香、4時半に駅でどうかって。」

「土屋くん?ええよええよ。」

恵里香は頷くと、不思議そうな顔をした羽美が聞いた。

「土屋くん?」

「あ、ごめんな関係ない話して。」

「衣奈の超絶イケメン幼なじみ、今度会わせてもらうの。」

ふふんと自慢げになる恵里香は勝ち気だったのだが、その話に食いついた羽美が「え!うちも見たい!」と言った途端にしまった、と口に手を当てた。

「ご、ごめん。」

ボソリと謝った恵里香に目配せした衣奈は「土屋くんはいいと思うよ。」と言った。

「やった!どんな子なん?」

「バスケ部で背高いよ。」

「えぇいいなぁ、そんな幼なじみ。」

パフェをパクパク口に運びながら器用に話す羽美は天井を見上げてうっとりとした表情を浮かべた。

「衣奈ね、クラスにも幼なじみおるで。」

「え、そうなん?」

「蜂谷南やっけ、知っとる?教室の真ん中の後ろの方の……。」

「……いつも寝てる子?」

「そうそう!」

「うそ!うち落ち着いててカッコいいなぁって思ってた。」

羨ましい〜と言うのに衣奈は笑うことしかできなかった。

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