HoneyとBunny
「衣奈ちゃ〜ん、恵里香ちゃ〜ん一緒に帰ってもええ?」

教室を出ようとした二人にパタパタと細かい足音を立ててついてきたのは羽美だ。
衣奈と恵里香は快く頷くと衣奈を真ん中に三人並んで歩いた。

「衣奈ちゃんと恵里香ちゃんって中学も一緒やったん?」

「ううん。高校からやで。」

「えぇ?嘘!めっちゃ仲ええからずっと友達やと思ったぁ。」

そう言われると悪い気はしない二人で、照れたように目を合わせて笑った。

「ねぇねぇ、今日帰りどっか寄ってくん?」

「なんも考えてなかった、なぁ?」

「うん。」

「帰りにめっちゃ美味しいパフェのお店あるんやけど、一緒に行かへん?」

キラキラした目で訴えかける羽美は衣奈に腕に絡みついた。

「私はいいけど……。」

「まぁ、今日暇だし行こうか。」

「やったぁ、あんねぇ抹茶のがめっちゃ美味しいんよ〜。」

とろとろとした話し方は癒し系とでも言うのだろうか。
心のどこかがむず痒〜くなるような、ムズムズする気持ちになる。
要領を得ないというかなんというか……と衣奈は首を傾げた。

「そんでな、タピオカも美味しいんよ。
……やだ、うちばっか話してへん?」

羽美は頬を両手でサンドイッチして、やだぁと身体をくねらせた。

「うちな。よォ言われんねん、クラスの男の子とかに。羽美って人の話聞かんなって。」

「そうなん。じゃあ直さんとなぁ。」

恵里香がツンと言うと羽美は冷たくあしらわれたのにも関わらずもろともせずに「そやねん。」と笑った。
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