哀恋の先で、泣いて。
「ほかの男と話すなって言うくせに自分は話してたじゃん、不特定多数の女の子と」
「でも」



彼の声を遮って、「サークルだから仕方ないって言うんでしょ?」と言うと、彼は口を閉ざした。

すきなところよりも嫌いなところが見えるようになったのはいつからだろう。




「縛られるのも嫌だった」
「……ごめん」





「浮気疑う」
「ほかの男とあんま話さないで」
「俺なんかした?」

自分は大学で不特定多数の女の子と話すくせに、私には話すなよって言うところが嫌いだった。



「返信遅くない?」
「言いたいことがあるなら言ってほしい」
「既読は早くつけて、不安になる」

私は話したくないのに、話すのが嫌だった。会いたくないのに、無理矢理会うのが嫌だった。



「すきだって」
「椿の気持ちがわかんない」
「俺よりすきな人できた?」

私のじゃない、知らない香水の香りがする身体を近づけて唇を重ねてくる麻弥は嫌いだった。
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