哀恋の先で、泣いて。
いつも通り、ポテトを揚げて、マニュアル通りハンバーガーを作って、手が空いたときは掃除をして、バタバタした時間が過ぎていく。

人がまばらになったのを確認した私は「お疲れ様です」と頭を下げて休憩室に戻ってきた。



崩れたメイクを直すことなく、タイムカードを押して、外に出る。外に出た途端、ぬるいのか、涼しいのか、よくわからない風が私に当たって真っ白のブラウスを膨らませた。

風に晒されたら、高鳴りも多少収まると思ったけれど、時が近づくにつれてドキドキが加速する。


「大丈夫大丈夫」と自分に言い聞かせながら、自分の心臓を抑えて静めながら歩いていくと、私服を着こなした彼氏がいつもみたく私に手を振ってくる。
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