哀恋の先で、泣いて。
「お疲れ様」
「……ありがとう」



素直にお礼が出てくるのもきっと最後だからだと思うし、もうこの言葉を聞けないと思うと寂しいし、虚しいし、悔しいと思う。

いつもみたく、手を振ってくれただけで、表情はお互い硬く、いつものような雰囲気はなかった。





「あそこの公園で話そ」

そう言って先に歩き出した彼を私も追いかける。かつては躊躇なく隣に並べたし、初めの頃は私の右手と彼の左手が繋がっていたけれど、いまは手も距離も離れている。

これが私たちの"最後"なんだと、もう戻れないのだと気づかされる。



沈みかけた夕陽が私たちふたりを優しく包み込んでいるのに、私たちの間に流れる空気は息が詰まりそうなほど重くて、この要因を作ったのは私だと思うだけで痛かった。
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