真夜中だけの、秘密のキス
「えっと。私の気持ち、知ってたの?」
「まあね。玲香ちゃん、ものすごく分かりやすいからさー」
「……別に、そんなに傷ついてないかな」
朝岡君から目をそらして私は答える。
「久木君は生徒会長から直々に選ばれたんだから、仕方ないよ。どの道、私は久木君と釣り合ってないし」
「そう? そんなことないと思うけど」
優しい朝岡君は、意気地無しな私のことを慰めてくれる。
「とりあえず、俺と約束して?」
急に立ち止まった彼は、長身を屈めて私の頭に手を置いた。
「誰かに付き合ってって言われても、簡単にオッケーしたらダメだよ?」
「えっ。……うん」
告白なんて、されたことがないから。
全然大丈夫だと思う。
朝岡君は心配性なのかな。
「やけになって、よく知らない男と付き合うくらいなら。──俺と付き合お」
「う…ん…………ええっ!?」
何気なくうなずきそうになってから、やっとセリフが耳に飛び込んできた。
今、付き合おうって言われた?
たとえばの話、だよね?
「玲香ちゃんて可愛いのに無自覚だから、ほんとに心配」