旦那様、離婚はいつにしましょうか~御曹司と清く正しい契約結婚~
 相馬さんを放置したまま、ひたすら窓の外に視線を向け考え込んでいた。


 あのふたりが私の知らないところで抱き合っていたなんて。


「唇を噛むな」
「えっ……」


 唐突に声をかけられて、ハッとした。


「きれいな顔が台無しだ」
「きれいなんかじゃないです」


 反論した瞬間、涙があふれてきて自分ではどうにもならなくなる。


 彼はカクテルを持ってきたウエイターから手渡しでグラスを受け取った。

 それは私の泣き顔を見せたくなかったからかもしれないと感じた。


「マティーニって強いんですよね」


 このままでは泣き続けてしまいそうだと思った私は、自分から会話を始める。

 ピックに挿したオリーブが入れられているそれは、かなりアルコール度数が高いと耳にしたことがある。


< 65 / 74 >

この作品をシェア

pagetop