旦那様、離婚はいつにしましょうか~御曹司と清く正しい契約結婚~
 でも、私もみじめなだけだ。

 同情されたとて隆二さんとの時間は取り戻せないし、彼との未来もない。
 それに、捨てられたという現実は変わらない。


「それなら、お前を傷つけた男なんて早く忘れろ」

「できないです」


 だって、結婚を考えていたほどの人なんだよ?


「俺が忘れさせてやろうか?」


 再び肩を抱かれてビクッと震える。


「いっ、いえっ……」

「なに勘違いしてる。今日は記憶が飛ぶまで飲め。あとのことはなにも考えなくていい。好きなだけ飲んで全部吐き出せ。全部俺が責任を持つ」


 ミモザはいつの間にか空になっていて、彼は追加でビッグ・アップルという、ウォッカをアップルジュースで割った、これまた飲みやすいカクテルを頼んでくれた。


 いつもは簡単に酔わないのに二杯でフワフワしてきた。

 空腹だからなのか、心がズタズタだからなのかは知る由もない。


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