HOME〜私と家族〜
レポート7
6月。
毎日窓の外はどんより曇っていて、今にも落ちてきそうなほど低い雲と、ポツポツと降り始める雨が常の光景。
折りたたみ傘が手放さない。

「止まなかったね」

絵梨が昇降口で傘を広げながらため息をつく。

「ねー。ジメジメしてて嫌になる…」

湿気でベタつくワイシャツが不快だ。

「早く帰ろ」
「どうせ待ってても止まないもんね」

止むどころか、天気予報はこれから夜にかけて、雨脚がひどくなるとさえ。
至るところにある水たまりを避けながら、道路の端を歩く。

「…濡れたね」

大通りはどんだけ気をつけていても、車からの水がかかる。

「足元ぐしょぐしょ」
「梅雨最悪」

特にトラックみたいな重い車は、よくはねる。
スピードを落として気をつけてくれる車もいれば、そのまま走り去る車も。
絵梨と別れて、足早に帰宅。

「ただいま」
「沙穂ちゃんおかえりなさい」
「シン!?」

いつも部活で遅くなるシンが、なぜかリビングに。

「なんでこんなに早いの?どうしたの?」
「って、どうしたのはこっちのセリフだよ!なんでそんなにずぶ濡れなの!」

ぐいぐいと背中を押され、洗面所に押し込まれる。
「え、え、ちょ、なんっ」
「か、鏡みて!」

バタン、と勢いよく扉を湿られてしまった。
いきなりなんなの、と思いながら言われたとおり鏡を見る。

…なるほど。
湿気と汗と先程の車からはねた水で、ワイシャツから、中に着ているキャミが透けていた。
シンに悪いことしたなあ。
あとで詫びなくては。

「…シャワー浴びよう」

せっかくだし、気持ち悪いし、とはらりとワイシャツを脱いだところで、ガラリと扉が開いた。
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