HOME〜私と家族〜
「終わった…!」

チャイムと同時に立ち上がり、絵梨と手を取り合って喜ぶ。
晴れてテストから解放!
中間を乗り越え、さらに期末までもあっという間に乗り越えた私たちに待っているのは、夏休み。

「夏休み、どこに行く?来年は受験だし、せっかくなら遊ばなきゃ」
「海?お祭り?花火?山?キャンプ?」
「沙穂、さすがにそれははしゃぎすぎよ」

絵梨に畳みかけると、宥められてしまった。

「ごめん、つい」
「それより。もっと楽しみなことがあるでしょう?」
「…まあ」

私の数学の点数が平均点を超えていれば、の約束だけど。
期末前にもタクにつきあってもらって、かなりみっちり特訓した。
それなりにやってきたという自信が少なからずあるのだ。

「そっちはどこに行くの?」
「まだ何も…」
「せっかくなら、少し遠い花火大会にでも行って来たら?
どうせこの辺はファンクラブが目をつけてるだろうし」

まかり間違っても一緒の家に帰るところなんて見られたら、終わる。残り1年半の私の高校生活が終わる。

「調べておく」
「それがいいわ」

絵梨は頼りになる。いつもいいアドバイスくれる。
早速その日のホームルームから、携帯で調べ始めたのだった。
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