HOME〜私と家族〜
レポート10
タクの部屋の前に立ってから、早10分が過ぎた。
ノックしようと上げた手を何度下ろし、また上げたことか。行き場のない手がさっきから扉の前をふらふら彷徨っている。
タクが私の部屋に来たことは何度かあるけど、逆は実は初めて。
この部屋に最後に入ったのは、物置と化していた頃だ。
「…よしっ」
大きく深呼吸を1つ。
覚悟を決めて扉をノックしようと手を上げた瞬間…、
「さっきから何の用?」
タクが顔を覗かせた。
「ん⁉ え、いや、用というか、その」
思わずずるりと後ずさる。
「なに?」
追及の声に、おずおずと携帯の画面を見せる。
「ここ、行かない…?」
「大花火大会?」
それは、隣の県の花火大会。開催規模も大きいし、隣県ということで、ほかの人との遭遇率が低いとにらんだ。
「あ、えっと、これ!平均点超えたから…」
まるで言い訳のように、数学の答案を見せる。
じっと見つめては何も言わないタクに、もしかしてアレは冗談?と不安になる。
まさか本気で私が取ると思ってなかったとか。
刹那、
「よくやったな」
くしゃりと頭を撫でられた。
タクはカレンダーを見て、大丈夫、と答えた。
それが、花火大会への答えだと気づくのに少し時間がかかった。
「わ、わかった!じゃあ週末ね!」
「あ、でも昼間は用事あるから、駅前集合で良いか?」
「大丈夫!じゃあよろしく!」
頬が熱い。絶対顔赤い。それを悟られたくなくて、勢いでうなずいて慌てて部屋に戻る。
…大花火大会まで5日、長くて短い1週間の始まりだ。
ノックしようと上げた手を何度下ろし、また上げたことか。行き場のない手がさっきから扉の前をふらふら彷徨っている。
タクが私の部屋に来たことは何度かあるけど、逆は実は初めて。
この部屋に最後に入ったのは、物置と化していた頃だ。
「…よしっ」
大きく深呼吸を1つ。
覚悟を決めて扉をノックしようと手を上げた瞬間…、
「さっきから何の用?」
タクが顔を覗かせた。
「ん⁉ え、いや、用というか、その」
思わずずるりと後ずさる。
「なに?」
追及の声に、おずおずと携帯の画面を見せる。
「ここ、行かない…?」
「大花火大会?」
それは、隣の県の花火大会。開催規模も大きいし、隣県ということで、ほかの人との遭遇率が低いとにらんだ。
「あ、えっと、これ!平均点超えたから…」
まるで言い訳のように、数学の答案を見せる。
じっと見つめては何も言わないタクに、もしかしてアレは冗談?と不安になる。
まさか本気で私が取ると思ってなかったとか。
刹那、
「よくやったな」
くしゃりと頭を撫でられた。
タクはカレンダーを見て、大丈夫、と答えた。
それが、花火大会への答えだと気づくのに少し時間がかかった。
「わ、わかった!じゃあ週末ね!」
「あ、でも昼間は用事あるから、駅前集合で良いか?」
「大丈夫!じゃあよろしく!」
頬が熱い。絶対顔赤い。それを悟られたくなくて、勢いでうなずいて慌てて部屋に戻る。
…大花火大会まで5日、長くて短い1週間の始まりだ。