御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
遥は、翔を起こさない様に先にベッドを出て、キッチンに向かう。

人の家の冷蔵庫を勝手に開けるのは気が引けるが、朝食になりそうな物があるか確認したかった。予想通りの飲み物だけという状態。

「どうしようかな…」ひとり呟く。

「なにが?」とひとり言に返事を返されビックリして振り返る。

寝起きの翔が扉の傍に立っていたのだ。

「まだ寝てると思っていたのに、返事があってビックリした!」

「ああ。目が覚めて隣に遥がいないから慌てた」

「気持ち良さそうに寝てたから」

「昨日の事が夢かと思った。良かった!遥がいて」

「翔さんでも慌てる事があるんだね。いつも冷静だから意外」

「冷静なのは遥だろ?俺はいつも必死だよ。特に遥に関してはね」

「そうなの?何か嬉しい。私ばっかりドキドキしてるのかと思った」

「俺の方が、ドキドキしてるよ。ところで、さっきのどうしようかな?は、何かあったか?」

「朝ご飯どうしようかと思って、勝手に冷蔵庫開けさせてもらったの」

「それは構わないけど、空っぽだっただろ?」

「ええ。普段どうしてるの?」

「朝は、コーヒー位しか飲まないし、夜は外食かたまに実家で食べるかだなぁ」

「そうなんだ」

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