One s death -the last sword-
これは、全て夢。
空と地面の境界線が分からない程燃え上がっている、火。
そんな中で、俺は1人の人間を見つめていた。
後ろを振り返らずに、必死で見えない敵から逃げている人間。
何から逃げているんだ。 何を見ているんだ。
その人間は俺が見えていないというように、ものすごいスピードで俺の横を走り抜ける。
慣れた足取りで向かった先は、今までとは比べものにならない程燃えている場所だった。
「…まさか、自殺…とか」
不安が脳裏をよぎり、何も考えないまま足を進ませる。
炎の中に見つけた、かろうじて形が残っているドアを開けると、少し先にあの人間が見えた。
何かをしているように見えるが、何かは分からない。
ふいに足元に目線を落とすと、くしゃくしゃになった物を見つけた。
しゃがんで拾おうとするまでに、予想はできる。
―薔薇だ。
少し熱くなっている薔薇を持ったまま顔を上げると、多くなった煙の奥に2つの人影を見つけた。
1人、増えている。
「誰なんだ…?」
右手で鼻と口を塞ぎ、一歩一歩慎重に距離をつめる。
姿勢に低くしながら、2人の顔を覗きこむとふいに鼓動が速くなっていった。
「嘘だろ…?嘘だろ、おい…」
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