再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~
愛莉に…?


知らなかった…


『見事にフラれましたけどね。僕は、弟みたいだって言われました。もちろん、見た目も中身もあなたには勝てないけど、でも、愛莉さんを好きでいることはあきらめたくないんです。こんなにも、愛莉さんが…好きだから』


真面目でひたむきな彼の思いがひしひしと伝わってくる。


切実に訴える涙目の山下君に、俺はかける言葉が見つからなかった。


『すまない、君の想いを応援することは出来ないけど、それを止める権利は俺にはない。俺だって…愛莉を諦めろって言われても、絶対に無理だから』


『…ありがとうございます。愛莉さんが、あなたを好きになる理由、何となくわかる気がします。先生は優しくて、本当に素敵ですから』


『愛莉はまだ、俺を選んだわけじゃないよ。俺も、彼女の答えを待ってる』


『僕も、今はまだ…先生と愛莉さんを応援することは出来ないです。でも、今日、先生と話せて良かったです。ありがとうございました』


そう言って頭を下げ、彼は中庭から走って出ていった。
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