黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 彼の姿を見ていると自分の未熟さを思い知って、もっと頑張らないいけないんだと思わされた。
 
 伊尾さんは私の憧れで、目標だった。
 
 そんな彼に褒められ、私は言葉にできない喜びに唇を噛む。

 すると私の表情を見た伊尾さんは、不思議そうに首をかしげた。

「佐原。お前、なんで真っ赤な顔でぷるぷる震えてるんだよ」
「だ、だって。いつも厳しい伊尾さんに、急にそんなふうに褒められたら、感動するじゃないですか……!」

 もう、うれしすぎて泣きそうだ。

 感極まった私が顔をくしゃくしゃにすると、伊尾さんはぷっと噴き出す。

「お前はいつもほかのやつらにかわいがられて甘やかされてるから、俺くらい厳しくしないと成長しないだろ」

 そう言いながら長い指でこつんと私の頭を叩いた。
 彼らしい励ましに、胸の中がじわりと温かくなる。

「じゃあ、俺はそろそろ行くかな」
 
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