黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 きっと、こういうときは素直に奢られるのがもてる女子の礼儀なんだろう。

「あ、あの。伊尾さん、ありがとうございます」

 私もぎこちなくお礼を言うと、伊尾さんは短くうなずき笑ってくれた。

「じゃあな」
「はい。また明日」

 伊尾さんの後ろ姿を、ドキドキしながら見送る。

 そして彼の姿が見えなくなると、はぁーっと大きく息を吐きだした。


 体から力が抜け、へなへなとテーブルの上につっぷす。

 あー、もう。なにあの人。
 ずるいくらい、かっこよすぎる……!

 さっき交わした会話や、伊尾さんの表情を思い出すだけで、胸がきゅんきゅんして叫びだしたくなる。

 私がひとりじたばたしていると、恵がため息をついた。

「……確かに、あれは惚れるわ」

 しみじみとつぶやかれ、私は勢いよく顔を上げる。

「でしょうっ?」
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