黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 でも、手を縛られ二階の部屋に閉じ込められたこの状況を、私ひとりで突破するのは困難だろう。
 
 せめて伊尾さんたちに連絡がとれれば……。
 
 必死に頭を働かせる私を見て、呉林くんは目を細めた。

「助けがくるのを期待しているのかもしれないけど、無駄だよ。君のお仲間たちは、まだ僕が黒幕だって気付いてないんだろ。もし勘づかれたとしても、この場所を知ってるのは数人だけだ。たどりつけるわけがない」

 私がぐっと唇をかみしめると、呉林くんはくすくすと肩を揺らして笑う。

 そのとき、ドアの向こうから男の声が聞こえてきた。

「呉林さん、ちょっといいですか」

 その声で、この建物には呉林くん以外にも人がいるんだと知って、焦りが増す。

 彼ひとりなら、隙を見て逃げ出すのも可能かもしれないと思っていたのに。

 呉林くんは「今行く」と短く返事をして、こちらを見る。

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