黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 呉林くんは銃のトリガーに指をかける。
 
 伊尾さんを撃つ気だ。
 それを見た瞬間、全身の血がざっと引いた。

 怒りに体が震えたとき、伊尾さんと目が合った。
 伊尾さんは、私が自分を見ているのを確認してから、視線を部屋の隅に転がっている銃に向ける。

 伊尾さんは、こんなときでも冷静だ。
 なにが最良の行動か、常に考えを巡らせている。
 
 自分がすべきことを理解すると、私は隠れていた段ボールの陰から飛び出る。

 くじいた右足に痛みをこらえながらも床に転がっていた伊尾さんの銃を拾い、両手で構えた。

「動かないで」

 そう言いながら、呉林くんの背中に銃口を向ける。

「は……っ」

 彼は突然出てきた私に、驚いたように動きを止めた。
 伊尾さんに銃を向けたまま、ちらりとこちらを見て眉をひそめる。

「なんだ、佐原さん。逃げたんだと思っていたのに、隠れていたんだ」
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