黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「さて、これからどうしようかな。最初は佐原さんをクスリ漬けにしてこちら側に引き込もうと思っていたんだけど、こうして話していると、あなたのほうがずっと彼女より使えそうですね」
「俺にマトリの情報を流す内通者になれって?」
「見たところあなたはかなり有能で賢そうです。堅苦しくて古臭い慣例に縛られた組織の中で働かされるより、僕と手を組んだほうがずっと人生を楽しめると思いますよ」
「まぁたしかに、国家公務員なんてくだらないしがらみだらけだけどな」

 呉林くんの言葉に、伊尾さんが同意する。
 呉林くんが「じゃあ……」と言いかけたとき、伊尾さんは口を開いた。

「でもな。俺には尊敬する先輩と、慕ってくれる後輩がいる。そいつらの信頼を裏切るくらいなら、死んだ方がましだ」
 
 さっぱりとした口調で言った伊尾さんに、呉林くんは顔をしかめた。

「じゃあ、死んでもらうしかありませんね」
 
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