黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 ちょっと意地悪で優しい大好きな表情を見せられ、心臓がきゅんと跳ねる。



 伊尾さんの恋人になって一ヶ月。

 伊尾さんは今でも私を名字で呼ぶし、相変わらず厳しい。
 けれど、ベッドの中だけではとことん私を甘やかし、下の名前で呼んでくれる。

 その飴と鞭のギャップはずるいと思う。

 ようやく想いが通じ合ったというのに、好きという気持ちは大きくなるばかりだ。

 ちなみに結婚のほうはというと、ゆっくり準備を進めている。
 
 伊尾さんと一緒に私の実家に行って家族に挨拶を済ませたあと、私は官舎から伊尾さんのマンションに引っ越す予定だ。
 
 それから伊尾さんのご家族にもあいさつに行きたいし、披露宴をするとなると職場の人たちをたくさん呼ばないといけないし。
 幸せだけど、やることは山積みだ。
 
 私がそんなことを考えていると、伊尾さんが頬杖をついてこちらを見ながらぽつりと言った。

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