黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 彼の問いかけに、私は何度も首を縦に振る。
 
 そんな私を見ていた伊尾さんは、しばらく黙ったあとでゆっくりと口を開いた。

『俺からひとつだけアドバイスをするなら……』
『はい!』
『悪いことは言わないから、やめておけ』


  
 
 私の真剣な宣言は、伊尾さんにそのひと言だけであしらわれたのだった。


                                 


 それから私は必死で勉強した。

 薬剤師国家試験に合格し、麻薬取締官の採用試験を受けた。
 
 麻薬取締官は全国九地区全て合わせても三百名弱という、少数精鋭の専門集団だ。
 
 当然、採用される人数も少なく、想像を絶するような狭き門だ。
 
 けれど、面接で麻薬取締官になりたいという夢を熱く語った私は、なんとか採用試験に合格した。
 
 そして今から二年前に、関東信越厚生局の麻薬取締部に配属されたのだ。
 
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