黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
私の初登庁の日のことは、今でも忘れられない。
『おーい、みんな集まってくれ。今年入ってきた新人を紹介する』
部長の言葉に、取締官たちがわらわらと集まってくる。
その中にひとりの男の人の姿をみつけた私は、感激で胸がいっぱいになった。
私が麻薬取締官を志すきっかけをくれた、伊尾さんだ。
伊尾さんは徹夜明けだったのか、ネクタイをゆるめだるそうにあくびをしながらやってくる。
気だるげな表情が、大人の色気を際立たせていてかっこいい。
二年ぶりに再会した彼は相変わらず素敵で、鼓動が勝手に速くなる。
『語学の堪能さをかわれて採用された志道司と、薬学部出身の佐原美緒だ』
部長の紹介に、伊尾さんはゆっくりと視線をこちらに向けた。
私と目が合うと、伊尾さんの切れ長の目が見開かれた。