黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「消そうとするんじゃなくて、ほかに好きな人を作ればいいのよ。そうしたら自然とその先輩を忘れられるから」

 たしかに恵の言い分にも一理ある。だけど……。

「好きな人なんて、作ろうと思って作れるものじゃないよ」
「そりゃそうでしょうよ! 毎日仕事して、休みの日は家でのんびりしてるだけで終わるんだもん。そんな生活をしていたら、好きな人なんてできるわけないじゃない。あんたに足りないのは、出会いよ出会い」
「出会い……」

 恵の力説に圧倒されながら繰り返すと、彼女はにっこりと笑った。

「ちょうど来週末、大学の同窓会があるじゃない」

 大学の話題を出され、反射的に友人の静香を思い出した。
 
 彼女は在学中に覚せい剤にはまり、私が麻薬取締事務所に相談したのをきっかけに、起訴され大学をやめた。
 
 東北の地元に帰ったと聞いていたけれど、それ以来まったく連絡を取っていなかった。


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