黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 そんな私を見た伊尾さんは、小さく噴き出し表情をやわらげた。
 
 長い腕を持ち上げ、ぽんと私の頭をなでる。

「じゃあ、同窓会用に買った服は、俺のために着ればいい」

 そう言われ、全身の血が一気に頭にのぼった。

 それってそれって、もしかして、伊尾さんが私とデートしてくれるって意味……?

 私の頭の中がバラ色になったとき、伊尾さんが冷静な口調で付け加えた。

「クラブの潜入捜査にちょうどいいだろ」

 そのひと言で、バラ色の脳内が一気に真っ暗になる。

 私は思わず脱力し、その場に崩れ落ちた。


 勝手に誤解して期待した私がバカなんだけど、それでも、それでも……っ!


 私が床にしゃがみ込み唇をかんでいると、伊尾さんが不思議そうに首をかしげてこちらを見下ろす。

「佐原、どうした?」
「……なんでもないですっ」

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