バーテンは甘すぎる
『帰るところですか?』
長い沈黙になる前に常連さんが口を切る。
「あ、はい、今バイト終わって…」
『家まで送りますよ』
「え?」
まさかの発言で間抜けな声が出てしまう。
「いやいや、大丈夫です
ここから30分ぐらいかかりますし、遠いですよ」
自己満足で30分かけて来ていたはいいものの、普通に考えて30分は遠すぎることは自覚していた。
そのため断る口実にもなると思い1番の言い訳として口をついて出た。
『30分?それはさすがに遠いですね
もっと心配になりました、さ、帰りましょう』
30分が裏目に出た。