ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
***

今日の俺の見合いはどうにか回避できた。
家族に朋葉を紹介して、あのばあちゃんが意外にもすんなり朋葉との結婚を認めてくれた。
これでとりあえず第一段階はクリアーだ。

でも、そんなにのんびりもしていられない。
泰造さんがみんなの前で『朋葉を嫁にやる』と宣言してしまったのだ。
次は朋葉に近寄る野郎どもを払いのけて一刻も早く俺のものにしなくてはいけない。

ずっと…会いたかった。

あの日…木々たちと会話をしている姿が印象的で、目を奪われたまま心もそのまま彼女に捕らわれてしまった。


6年ぶりだ。


長野のホテルで会って以来、彼女に近づき言葉を交わしたのはあの時以来だ。

すっかり大人びて綺麗になっている彼女を目の前にして、にやけそうな顔をひきしめるのに必死だった。


くるくる変わる表情はあいかわらずいくら見ていてもあきなくて、この腕の中に閉じ込めて誰にも彼女を見せたくなかった。

どさくさにまぎれて言った本音の告白。

朋葉は恋人ごっこの偽りの愛の言葉だと思っているだろうが、全て俺の嘘偽りない本心だ。

そして今日かぎりの恋人ごっこももうおしまいだ。
でも、2度と俺を忘れないように今度こそしっかり朋葉の記憶に植え付けられたはずだ。

< 38 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop