ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
別れの挨拶をして、俺から逃げるように走り去る後ろ姿を、黙ったまま見送った。
追いかければすぐに捕まえることは容易いが、今日はそのまま逃してやる。

待ってろよ、すぐに追い詰めてこの腕に必ず捕らえてみせる。


「追いかけなくていいのか?」

いつの間にか俺の背後に立っていた相楽が、顎をしゃくって俺に行けよと指示をする。

「いや、今日はもう十分だ。
大丈夫。しっかり外堀から埋めていくつもりだ。

しかし…

あのばあちゃんが朋葉を気に入ったのが想定外でね。

たぶんばあちゃんが黙ってないよ。それはそれで、あの人の行動は、なにをしてくれるかわからないから頭が痛いんだけどな」

そう、ばあちゃんの行動は俺の想像以上に早かった。

俺たちの新居をさっそく用意して、俺の気が変わらないようにと紹介した数日後には、ばあちゃんの指示で社内メールで俺の婚約が発表された。

ばあちゃんからは、連日式の日取りはいつにするのか、プロポーズはまだなのかと催促の電話が会社にはいり、ばあちゃんの予測不可能な行動に頭がいたい。

これ以上ばあちゃんに引っ掻き回されると、ろくなことはないだろうからそろそろ朋葉に接触しようとしていた矢先、突然彼女が会社に現れた。

その表情は明らかに怒っている。

まいったな…。

しかたない、第二段階のスタートだ。

必ず俺のものにする。

あと少し。

手に入れるまでもう少しだ。
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