ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
「大丈夫か?」

「ひゃっ!」

再び私は声をあげる。
瞬きも忘れるくらい、端正な顔立ちの美形の男性が目の前にしゃがみこんで私の目前に現れたのだ。

「おい…息してるか…?」

突然伸びてきた手が鼻をつまみ

「うっっ! ぷはっ!!
ちょっ!何するんですか!!」

その手を払いのけて立ち上がり、目の前のイケメンを睨みつけると、彼もスッと立ち上がり私のことを切れ長で涼し気な目で見下ろした。

うわっ、この人背が高くてものすごくイケメン…。
こんな格好良い人、間近で見るの初めて…。
ぼぉーっと見惚れる私に

「ん、大丈夫そうだな。
なぁ、朝っぱらからこんなところで何してんだ?
どうやってここに入ったんだ?
ここのテナントの従業員か?」

上から下まで不躾に向けられた視線にカッと全身が熱くなる。

誰もいないからと油断していた今の私の格好は、すっぴんにひっつめ髪、Tシャツにジーンズ、この街の住人や集う人たちに不釣り合いなみすぼらしい風貌だ。

じっと見られている彼の視線が恥ずかしくて堪らない。

「しっ仕事です!
私、ここの庭の手入れをしている庭師です…」


「庭師…?
ここの庭の管理は泰造ジィさんじゃなかったか?」

「泰造は私の祖父です。
私も一緒に祖父とこの庭を管理しています」

「ふーん、あんたが泰造ジィさんの孫…か…。
なぁ…お前今日これから暇だよな。
もう仕事は終わりだろ?
お前に頼みたいことがある。
お前にしかできない仕事を頼みたい。
一緒に俺ときてくれないか?」

「あっ…はい…私で役に立つのでしたら」

私にしかできない仕事…?
なんだろう、自宅の庭木の手入れでも頼みたいのだろうか?
というより、この人誰?
ここにこんな時間に出入り出来るっていうことは、ベリーヒルズビレッジの関係者なんだろう。

「あぁ、十分お前で役に立つ。
いや、むしろお前にしかできない仕事だからどうしてもお前に頼みたい」

能面みたいに無愛想な彼が目を細めてフッと一瞬微笑んだ。
ドキンと飛び跳ねた心臓に、この人は仕事のクライアントだと言い聞かせる。

こんな素敵な人のお役にたてるなら…。

素直にこの時の私は喜んでいた。
純粋に人助けができることを…。
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