ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
無言で歩く彼の後ろを足早に追いかける。
長身な彼と私のコンパスの差は歴然で、だんだん私は追いつけなくて小走りに変わっていく。

全く女性に気遣いができないこの人は、こんなにもイケメンなのに恋人がいたりしないのだろうか?

先程も横柄で俺様なものの言い方だったし、腰を抜かした私を心配してくれてはいたが、鼻を摘まれて初対面の女性に対していささか失礼な対応だ。

「あの!
あのっ、歩くの早いです!」

ちっとも彼との距離が縮まらずいらついた私が声をあげると、立ち止まった彼が振り向き私を見つめため息をついた。

「歩くの遅え…。
はぁぁ、仕方ないか。足の長さ違うもんな。
ってかあんた、のんびりした性格か?
俺せっかちなんだよな。
仕事頼むけど、テキパキこなしてくれよな。
頼むぞ」

「なっ!!」

なんなの!!この失礼な人!
別に頼まれたから引き受けただけで、すき好んで引き受けたわけじゃない。

再び歩き出した彼は、口は悪いものの私が言ったことは理解してくれたようで私は今度は引き離されることなく、彼の背中を目の前にしながらすぐ後ろをついていった。
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