ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
「悪い、朋葉には大人の報酬はまだ早かったみたいだな」

一瞬落ち着きかけた体温が、先程のキスを思い出し一気に急上昇してかぁぁっと顔に集中する。
言い返したいのにドキドキバクバクしている心臓が、気になりすぎて声がでない。

しかもついさっき名乗ったばかりなのにちゃっかりこの人は私を "朋葉" と呼び捨てだ。

そして不覚にも、私は名前を呼ばれて鼓動がはやまるのを意識した。
口をパクパクさせたまま相変わらず言葉がでない私を見つめ迫田さんは目を細めて

「ククッ」

と喉の奥で笑い

「可愛いな朋葉」

甘い言葉を口にした迫田さんは、口角を上げて笑っていたがその目はもう笑ってなどいなかった。

「朋葉、このエレベーターを降りた瞬間から俺たちは恋人だ。

これは御曹司だからって俺がふざけているわけでもないし、お前をからかってるわけでもない。

悪いがこれはお遊びなんかじゃなく、俺は真剣に今日の見合いをぶち壊す為に朋葉、お前の力が必要なんだ。だから頼む、俺を助けてくれ」

真っ直ぐに私を射抜く真剣な眼差しに私は断ることなんてできなくて。

あんなキスをされて殴り倒したいくらい腹が立っていたくせに気がつけば私は頷いていた。

「私で役に立てるのなら…」と。
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