君は私の唯一の光
俺がナースコールをした時のように、医者と看護師が慌てて来た。




「乃々花ちゃん、大丈夫?わかる?」




「……はい。」




今にも消え入りそうな、か細い声で返事をした乃々花に、心の底から安堵した。




そこから、医者がいろいろ見ながら機械が1個ずつ外されて、大分出会った頃の状態に戻った乃々花。酸素マスクとかは、そのままだったけど、乃々花の体から伸びるコードがほとんどなくなっていた。




良かった。ちゃんと、今は生きれてるんだ。相当、嬉しかった。昨夜、乃々花がこれから笑えるように願ったばかりなのに、いや、俺が笑わせるって決めたばっかりなのに、って思ってしまうから…………。




「乃々、大丈夫か?」



「うん……。いつも来てくれて、ありがとう。」



「んなの、気にすんなよ。」




目の前で繰り広げられる光景に、今度は俺がぶっ倒れそうだった。なんか、わかんないけど、すげーむしゃくしゃする。




ただ、唖然(あぜん)と乃々花と男を見つめていると、視線に気付いた男が、乃々花に「ちょっと待ってて。」と言って、こっちに向かって来た。



明らかに、俺とは違う空気をまとった男は、絶対俺より年上で、大人な感じがもろに溢れ出していた。少し恐縮(きょうしゅく)してしまった。




「君が、乃々の同室の子か。」



「はい……。」



「俺は、(かける)って言います。これからまあまあ顔を合わせることがあると思うから、よろしく。」



「あ、いえ。こちらこそ。神山洸夜です。」



「神山くんね。乃々がまた危険な状態だったら、面倒をかけるけど、いろいろお願いします。」



「いえ、全然面倒とかではないです。これから1ヵ月、よろしくお願いします。」



「いい子が同室でよかったよ。」





そう言って、乃々花のベットに戻る翔さん。



やはり親しげに話す様子に、胸のイガイガが広がっていく気がした。




< 8 / 97 >

この作品をシェア

pagetop