―――ファッション―――
中村正樹は高橋直哉の胸倉を掴むと、『―――御前・・・利恵に会ったら、こう言って置け、俺は御前と一緒にはいられない。』と―――。其の言葉に、凛は頭を鈍器で殴られた、そんな感じだ。
『―――何よ・・・貴女・・・利恵と付き合っているの?どういう事?利恵に失礼よ―――。』
『―――ならば・・・戻ってこい・・・俺の所に、そうでなければ、無理矢理やるぞ―――。』
その時、腕をギュッと掴まれると、凛は『―――放して・・・』と言い放った。それから、直哉はグッと胸倉を掴むと、バコッと殴りつけた。その様子に、2人は吃驚しており、唖然としていた。
『貴方・・・卑怯よ・・・貴女・・・利恵と付き合っているんじゃないの?私は・・・付き合えないって、言っているじゃない。どうして、私に付き纏うの?貴女・・・利恵が好きじゃないの?』
『―――御前・・・何で、こんな風に変わってしまったんだ?俺を振ったのに、偉そうな事を言うな。』
凛はハッと我に返ると、直哉はハッと見張った。今、直哉は義兄貴の気持が、分かった気がした。直哉は掴む腕を緩めると、『あ・・・義兄貴・・・お前・・・』と、吃驚してしまった―――。
『―――御前・・・そんなに、こいつが・・・欲しかったのか?俺が・・・いるのに―――。』
その為に、利恵を利用しようとしていたのか?―――直哉はグッと口を噛むと、涙が零れ落ちる。
正樹は泣いており、『―――利恵は・・・御前じゃない・・・そんな事は・・・分かっている。』と言った。ボロボロと涙が零れ落ち、『―――無理矢理・・・付き合うと、言っていたのか?』と問う。利恵では、付き合うのは駄目だと、はっきりと言ってしまった。
『―――そ・・・そんな・・・それじゃぁ・・・利恵ちゃんの気持は、どうなるの?』
『―――黙れ・・・友達の振りをするな・・・臆病者目・・・何の相談も受けない癖に、この野郎-――。』
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