ズルくてもいいから抱きしめて。
もう何も考えられない。

頭がクラクラする。

私の部屋に着いて早々、私たちは抱き合って何度も何度もキスをした。

天城さんのキスは甘く激しく、それでいてとても優しい。

唇からでも、私のことを大切に想ってくれていることが伝わってきた。

今までの別れ際のキスとはまるで違う。

天城さんの唇、すごく気持ち良い、、、

全身の力が入らなくなってくる。

私がギュッと天城さんにしがみ付いた時、天城さんはキスを止め、私の目をジッと見つめた。

「なぁ、、、本当に俺で良いのか?今なら止めてあげられる、、、」

こんな時でも私の気持ちを優先しようとしてくれる。

なんて優しい人、、、

そしてやっぱりズルい人、、、

「こんなキスしておいて、そんな風に聞くなんてズルい、、、私の全部を天城さんのものにして。」

そう言って、今度は私からキスをした。

「煽ったのお前だからな、、、」

そのまま私たちは何度も何度も蕩けるようなキスをして、絡み合いながらベッドに身を沈めた。

天城さんの大きくて温かい手が頬に触れ、優しくキスをして、そして耳元で囁いた。

「姫乃、、、好きだ、、、ずっと大切にするから、、、」

天城さんの声ってすごく安心する、、、

大好きな人に名前を呼んでもらえる幸福感に、私の目には薄らと涙が滲んだ。

「私も樹さんが好き、、、大好き、、、あっ、、、」

想いを伝え合った日、私たちはようやく身も心も結ばれることができた。
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