ズルくてもいいから抱きしめて。
飲み会を抜けて、タクシーで神崎の家に向かった。

神崎は、俺の隣で無防備に眠っている。

こいつ、、、もっと男に警戒しろよ!

それだけ信用されているということなのだか、男としては複雑な気分だ。

「お〜い、神崎!着いたぞ!」

「ん〜〜〜、、、」

俺は呼び掛けながら肩をトントンと叩いたが、起きてくれそうにない。

いつもこんなになるまで飲まないくせに、、、

俺は仕方なく、神崎をおぶって部屋まで送ることにした。

「神崎、鍵はどこだ?」

「ん〜、、、かばん、、、」

「かばん見るぞ?、、、あぁ、あった。鍵開けるぞ?」

「ん〜、、、」

こいつ、どれだけ寝るんだよ!

俺は何で飲み会に付き合わされて、酔っ払いの相手までさせられてるんだよ。

はぁ〜疲れた、、、

俺は内心モヤモヤしていたが、これも上司の役目だと思って割り切ることにした。

「神崎、おろすぞ〜」

「ん〜、、、」

とりあえず神崎をベッド脇に座らせ、先ほど買っておいた水を手渡した。

「はい、これ飲んどけ。服がシワになるからそのまま寝るなよ?」

返事を待っていると、神崎がおもむろに服を脱ぎ出した。

「ちょっ、おい!おまっ!!」

俺は慌てて後ろを向いた。

ガサゴソ着替えているような音がしたと思ったら、急に静かになった。

恐る恐る向き直ると、神崎はベッドに横たわり既に眠っていた。

「おい!、、、たく、もう、、、手のかかるやつだな。」

俺は呆れながらも、その無防備な姿が堪らなく可愛いかった。
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