ズルくてもいいから抱きしめて。
しばらく沈黙が続いた後、慎二の表情がとても真剣なものに変わった。

「あの、、、先ずは、先日の個展に来てくれた時のこと、ごめんな。感情的になってゆっくり話もできなかった。」

「ううん、大丈夫。私も話せる心情じゃ無かったし、、、」

「そうだよな。いきなり消えたくせに、また現れたら驚くよな。」

「うん、、、。ねぇ、どうして居なくなったのか聞いても良い?別れ話もしたくない程、私のこと嫌になってたの?」

私は思い切って、6年間ずっと聞きたかったことを尋ねた。

「それは違う!!俺は姫乃のこと好きだった!嫌だなんて思ってない!」

「じゃあ、どうして、、、」

慎二は何かを考えているようだったが、意を決したかのように話し始めた。
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