ズルくてもいいから抱きしめて。
「はい!では、打ち合わせはこれでほぼ終了です!表紙のデザイン等、細かなことはまだ残っていますが、ひとまずお疲れ様でした。」

そう言って橋田さんは、深々と慎二に頭を下げた。

慎二と再会してから今まで紆余曲折あり、“shin”の写真集を出版する一歩手前までやってきた。

細かな事を決めると、あとは印刷して製本して発売するだけ。

待ちに待った“shin”の写真集が本屋に並ぶ日まで、あともう少し。

「やっとここまで来たんですね、、、。まだしなければならない事がたくさん残ってるけど、なんか感無量です。」

慎二が突然私の前から居なくなってからのことを思うと、慎二が“shin”だと知って、今こうして一緒に仕事をしてひとつの作品を一緒に作り上げたことが、今でも信じられなかった。

「神崎さんは、本当によく頑張ったね!あなたの情熱が無ければ、“shin”さんはうちから写真集を出してくれなかっただろうし、出版が決まってからもあなたは誰よりも努力して動いてくれたわ。ありがとう。」

「いえ、そんな、、、。こちらこそ橋田さんのおかげです。ありがとうございました。」

私たちはお互いに感謝の気持ちを込めて、強く握手を交わした

「一番感謝を伝えないといけないのは、俺ですよ。車椅子だということを理由に、表に出ることを怖がってきました。そんな俺が、今こうして写真集を出そうとしている。気持ちがスッキリして、とても良い写真が撮れるようになりました。本当にありがとうございます。」

そう言った慎二は、とても良い笑顔だった。
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