ズルくてもいいから抱きしめて。
「なにそれ!フラれた腹いせでこんな噂流すの!?ただの逆恨みじゃない!」

私の話を聞き終えると、橋田さんは自分のことのように怒ってくれた。

「そいつって、確か以前に姫乃のことを飲み会に誘ってきたやつだろ?」

「そういえば、そんなこともあったな。口説いてる途中で天城に邪魔されてるし、変に執着されてる可能性もあるよね。ただな〜前川が噂流したっていう証拠が無いんだよな。」

中村さんの言う通り、前川さんだという確かな証拠はなく、状況証拠だけでは追及することは難しい。

考えても答えは出ないだろうし、これ以上悩んでもみなさんの迷惑になるだけだ。

「みなさん、私のことで悩ませてしまってすみません。噂なんてそのうち治るだろうし、私なら大丈夫です。」

そう言って、私はなんとか笑顔を作って見せた。

「神崎ちゃん、、、。俺の部下である前川が迷惑掛けてごめんね。あいつのことは俺も何とかするから。」

「私の方でも噂の件はフォローするからね!」

中村さんも橋田さんも私の味方でいてくれる。

それだけで心強い。

「お二人とも、本当にありがとうございます。」

「俺もなるべく姫乃のそばに居るようにするから。」

樹さんは、そう言って私の頭を撫でてくれた。



「いや〜姫乃も変なやつに惚れられたよな。」

帰宅後、私たちは噂の件について話していた。

「断る時にキツイ言い方になってしまったし、自業自得なのかな、、、」

「お前は何も悪くないよ。悪いのは前川だろ。」

「うん、、、」

「なぁ、やっぱり俺らの関係そろそろ公表しようぜ。その方が変な虫も寄ってこないだろ。」

「そうだけど、、、でも、あの噂が流れてる以上、樹さんまで嫌な目で見られちゃう。噂が落ち着くまでもう少し待って欲しい。」

「俺が公表したいんだけどな、、、」

私の必死さに、樹さんはしぶしぶ了承してくれた。
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