ズルくてもいいから抱きしめて。
その後も、同僚たちから向けられる好奇な目や嫌な態度は相変わらずだった。

打ち合わせなど、他部署とのコミュニケーションが必須な仕事であるにも関わらず、このような空気感の中では非常に仕事がやり辛かった。

そして、恐れていたことが起こってしまった。

「神崎、、、。こんな初歩的なミスをするなんて、お前どうしたんだよ?」

仕事でのミスが発覚し、私は部長から呼び出された。

コミュニケーション不足が災いし、他部署からの連絡が私の所まで回って来なかったのだ。

でも、それはただの言い訳になってしまう。

今の私の状態は仕事には関係のないこと。

「申し訳ございませんでした。私の確認不足です。」

情けない、、、

私は深く頭を下げた。

「お前のことで変な噂が流れてるのは把握してるよ。お前が女を使って仕事を取るような奴じゃないのも分かってる。だからこそ、こんなミスを犯せばあいつらの思う壺じゃないか。今だからこそもっと気を引き締めてやりなさい。」

「はい、気を付けます。」



部長とのやり取りは既に同僚たちの耳にも届いていたようで、部署に戻ると更にザワザワしていた。

「あれ〜神崎さん!部長のお説教はもう終わったのかな?部長にはお得意の色仕掛け効かなかったの?」

私が部署に戻るのを見計らってか、前川さんがニヤニヤしながら話し掛けてきた。

今回のミスで、私を更に追い詰めるチャンスとでも思ったのだろう。

“あなたのせいで!”と言いたくても、実際にミスをしたのは私。

腹が立つのに何も言い返せない。

情けなくて、私の目から涙が溢れそうになっていた。

泣いちゃダメ。

会社なのに我慢しなきゃ、、、
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