ズルくてもいいから抱きしめて。
“樹さん、どうか無事でいて!”

新幹線に飛び乗り、落ち着かないまま気付いたら目的の駅に到着していた。

到着までの間、私はただただ祈ることしかできなかった。

もし樹さんに何かあれば私は、、、

また大切な人が目の前からいなくなってしまうような気がして、私は不安に押しつぶされそうだった。

詳しい状況が分からない今、そんなことを考えても仕方ないのはわかっている。

でも、不安にならずにはいられなかった。

あの時も突然だった。

当たり前のように感じていた慎二との時間。

いつでも会えると思っていた愛しい人。

それなのに、慎二は突然私の前から姿を消した。

“もし樹さんと会えなくなってまったら、今度は私、、、どうなってしまうのだろう。”

「お客さん!着きましたよ!」

突然声を掛けられハッとして意識を向けると、そこは予め部長から聞いていた病院の前だった。

私は財布を取り出し、料金を支払って急いでタクシーを降りた。
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