ズルくてもいいから抱きしめて。
病院の面会受付、申請用紙を書く手が震える。

患者名・・・天城樹

申請者・・・神崎姫乃

続柄・・・身内( )、身内以外(○)

受付の人が私の書いた申請用紙を確認する。

その一分一秒が惜しく感じる。

「身内以外の方の面会は、ご本人又はご家族に確認を取ってからになりますので、もうしばらくお待ち下さい。」

「えっ!?すぐに会わせてもらえないんですか!?」

「はい。当院の規則ですので、申し訳ございません。」

病院にさえ来られれば、樹さんの状態がすぐに分かると思っていた。

大切な人がこの病院に運ばれたのに、私は“身内以外”だからすぐに会わせてもらえないんだ。

不安でどうにかなってしまいそうなのに、まだ樹さんに会えない。

ただ愛しい人に会いたいだけなのに、、、

受付の前で、私はただ呆然と待つことしかできないんだ。

ドクン、、、ドクン、、、ドクン、、、

周囲の雑音も耳に入らず、自分の鼓動の音だけが脳内に響く。
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